緊急特集

医療職の働き方改革と
地域医療は両立できるか。

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病院勤務医が答える、自分のキャリアと生活において、当直を含めた超過勤務の上限規制への意見」。

医師の仕事は本来的に社会性が高く、人々の健康や生命に寄与するものであるため、その他の職業とはモチベーションが違うものです。その為、一般の職業と同じ超過時間で議論されるのは甚だ疑問です。その上、上限が決められて、超過した分は病院から書かないように言われたり、もみ消されて残業代が支払われなくなると、モチベーションを下げることになり、下がったモチベーションの中、勤務をした結果が患者さんへ影響するということまで考えて議論しなければなりません。/キャリア10年

自己研鑚のため時間外労働を承知の上で外科を志望しています。時間外労働減少のためには現状の2倍程度の医師数が必要と思われ、現実的には困難と思います。/キャリア5年

制度について良い・悪いの意見は特にない。もともとタイムカード等で勤務時間をしっかり管理している病院なら別だが、そうでない病院では現実的ではなく、名ばかりの制度になると思う。/キャリア4年

患者の状態や緊急等によっては、時間外労働を強いられることもあります。勤務医や当直医の多い病院であれば当番制にするなどで、労働時間をシェアすることは可能です。ただ、時間を主に収入を得ている医師がいること、地域の病院で医師が不足していることなどを考慮すると、上限規制は厳しいかと思います。/キャリア2年

睡眠時間が少ないまま診療を行うことは、かなり効率が悪く、医療ミスを引き起こすリスクも上がると思います。ただ、勤務時間の規制があると、入院患者に対して責任を果たせなくなることも懸念されます。当直翌日は半日勤務にするくらいにとどめておくくらいでよいのかと思っています。/キャリア5年

今の日本のシステムで、どの科も一律に上限を決めることは難しいと思います。現場が混乱すれば、不利益をこうむるのは患者さんなので、いきあたりばったりの改革はさけるべきだと思います。/キャリア3年

日常業務での残業や当直時間の上限制限は身体的、精神的負担の軽減に期待でき、健康的に働く上で有効であると考えます。/キャリア8年

現在の医療は専門分野の細分化が進み、治療方法によっては少数の医師しか扱えない手術もあります。自分のキャリアアップという面では、自分しか行うことができない手術を極めていくことにやりがいを感じる一方で、救急診療など緊急性が高くて即時に対応しなければならない場合は、症例数が多くなると疲労がたまります。自分は脳血管内治療を専門にしていますが、治療医は少数で、一人で一つの病院を担当するため、脳梗塞治療などではすべて自分がかかわることになりますが、超過勤務の上限を定められますと、こういった治療ができなくなる可能性があります。「代わりのきかない医師」はやりがいは非常にありますが、全例自分の責任になるため、勤務体制は不規則にならざるを得ず、時間外勤務かどうかは関係なくやらざるを得ないと思います。/キャリア13年

医師も労働者であることに違いはないので、超過勤務についてある程度制限を設ける必要はあると思う。しかし自分は外科医をしているので、緊急手術等が重なって、超過勤務が増えてしまうことはやむを得ないと思う。特に若手の頃は緊急手術を数多く経験することが、大きな手術を出来るようになるためのステップというところもある。一方で若手医師の中でも個人差があるので、規則として決めるのではなく、まわりがサポートして、容量を越えないよう気にかけていくことが必要でないかと思う。/キャリア9年

体調や精神面を考えると過労が減った方が良いとは思いますが、やはり勉強の機会が減ってしまうのは困ります。当直が、日中勤務もあるなかで入ると大変なので、他のコメディカルの方のように、日勤・夜勤などに分けて、睡眠時間帯を固定できれば、機会も確保できたまま精神的過労が減るかもしれませんが。/キャリア1年

多少の超過勤務の上限規制はあってよいと思います。今の職場は超過勤務多くないですが、十分な研鑽をつめています。/キャリア4年

現場の状況と厚労省が会議している内容に、かなりの乖離があります。現場はもっと「ブラック」で、厚労省が何を決めても、現実に実行できない対策にしかなりません。もっと国の根本的な、かつ、実現可能な会議、対策を行って頂きたいです。自己研鑚のチャンスは自分で得るべきだと思いますので、口を空けて待っているだけだと、キャリアなんて考えなくてもいい人ではないでしょうか。学生時代からの「医学教育」を変えるべきだと思います。厚労省と文科省が考えるべきです。/キャリア9年

患者を相手にする仕事であり、患者の状態などで早朝・深夜の呼出もある。外来や入院担当患者の数次第で、超過勤務をせざるを得ないことは、少なからず発生する。それは当直明けにおいても変わらない。超過勤務時間の上限を決めたところで、他の医師の数が増えるわけではなく、また、他の医師に依頼できない事案・内容へは、結局自身で対応せざるを得ないので、過労問題は解消することはない。逆に完全なサービス残業となり、無賃労働時間が増えるだけであると考える。医師をはじめ医療従事者といえど人間であり、労働対価として十分な手当、賃金を受け取ることが保証されれば、多少の超過労働でも離職を抑制できるのではないか。/キャリア7年

上限を規制することと同時に、当直明けに医師が帰っても、他の医師で仕事がカバーされる体制づくり(医師数の確保や勤務形態の多様性など)も必要と思う。/キャリア14年

他の職種と同様に、医師の勤務について、配慮いただけるのは、良いことだと感じます。自己研鑽を望む人は、自主的に時間外でも臨床を行うと思うので、あまり影響ないと思います。勤務時間が増えれば、能力が上がるわけでもないので、立場的に休めない人のためになったり、医師の自殺ダウンに繋がるのであればいいなと思います。/キャリア3年

医師の人数が増えればよいが、今の状態のままで規制だけされても、結局、無休で働かねばいけないことになると思います。/キャリア8年

自己研鑚を積む上で、ある程度の超過勤務は止むを得ないかと思います。その現状も踏まえた上で、医師として働く覚悟が必要だと思います。/キャリア7年

現在の日本の制度では、初期研修医、後期研修医は、「労働」というより「勉強」の期間であり、超過勤務について上級医と同様の制限をするのは望ましくない。上級医については、ある程度の制限とその遵守は必要だと思うが、現在、多くの病院、診療科でとられている主治医制では、制限をしても守れない。規制とともに全国への当番制の浸透、徹底と国民(患者)教育が必要。/キャリア9年

他の仕事は経験ないのでわかりませんが、おそらく多くの仕事の若手は、上司からの命令でやらされる仕事が多いのではと思います。医師は自分が主体となって行う仕事が多いので、他職種の残業に比べ、精神的な負担は少ないかなと思います。一律に時間できってしまうのはどうかなと思います。/キャリア8年

超過勤務時間を規制するよりも、医師が診療のみに集中できるような環境作りが必要。(診断書などの草案作成など医師でなくてもできる仕事は、医師以外で行う)。そうなれば勤務時間は少しは減ると思います。望んでその診療科に所属しているので、長時間の診療はそれほど苦ではないです。/キャリア7年

医師以外の職種で可能な事務作業が多いため、それを減らせば自己研鑚の時間はとれると思う。特に大学病院では給与が安く、時間外もつかないため、土日もバイトに行かざるをえない。一般病院の医師がしなくてもすむ仕事まで、大学病院は若い医師の自己犠牲のもと、成り立っていると言わざるをえず、研修という名のもと、労働力を搾取していると感じる。/キャリア13年

若手は経験をどんどん積みたいので、上限を決める必要はないと思われる。/キャリア7年

病院勤務医師の超過勤務の原因は、手術などの医療実務の多さもさることながら、書類仕事等の事務作業の多さも、かなり影響しているように思う。もう少し事務仕事の合理化が得られれば、自己研鑚の機会を減らすことなく、超過勤務を減らせるのではないかと思う。/キャリア7年

循環器の場合は、緊急疾患が多く、上限規制によって経験できなくなれば、技術習得には足かせになる可能性があると思います。最初は仕事として考えるか、勉強として考えるか、人によって異なるため、ケースバイケースだと思います。/キャリア13年

今後高齢者が増加し、病院受診者が多くなることが予想される中で、超過勤務時間の制限を越えた場合でも、患者を診なくてはならない場合が必ずあると思います。過労の解消や若手医師の自己研鑚の機会減少の議論の以前に、規制を確実に履行するのであれば、患者を目の前にして診ないという事態を招き、患者にとっての不利益を生むことになります。しかし、実際はそのようなことはあり得ないでしょう。規制があっても、実際は診察をしないといけない場面があれば、診察をすることになるでしょう。すなわち規制という制度は、現場の人間として机上の空論となる可能性を感じます。重要な事は、超過勤務の要因となり得る医療行為以外の仕事の合理化ではないでしょうか。/キャリア4年半

上限を規制しても、現場では働き続けなければならないと思う。(人員が不足しているため)表向きは超過勤務が是正されたように見えるが、実際は“タダ働き”しなければならず、より過酷な環境になると思う。決して自己研鑚の機会が減るということはないように思う。重要なのは上限の規制ではなく人不足の解消にある。/キャリア5年

月60時間に定めても、実際の労働時間が減ることはないので(医師数を増やす、もしくはPAのような制度導入がないと)、申請した時間外が事務で制限されるのではと危惧します。なので労働は減らさず報酬が減るということになりかねないと考えます。これは外科系の場合に限りますが。/キャリア8年

超過勤務の上限を規制しても、やるべき業務は減らない。代わりに仕事をする医師(上級医)はいない。病院経営者側は、書類上は時間上限を守っていることにすると思いますので、裏では時間外で働く若手が増えると思います。仕事が減らず、収入も減る若手はかわいそうです。業務の多い病院(例えば24時間救急体制や手術の多い場合)は、当直制ではなく、夜勤、準夜、日勤など、細分化するなどしなければ解決しないと思います。細分化するには、医師の数が必要です。医師の数が増えると一人あたりの収入は減ります。収入が低いところには人は集まりません。解決策としては、医師の収入をあげられるように国が補助すべきです。/キャリア12年

上限が決まっていても、超過した時間を記載せずに働いているケースが多いため、上限の設定が過労解消に寄与するかは疑問である。ただ、全体として、できるだけ早く仕事を終わらして帰る、という意識が少ないところもあるので、上限を設定することで、意識的に時間外勤務を減らせるかもしれません。/キャリア2年

超過勤務時間の上限規制に関しては、具体的な数字はともかく、ある程度必要かと思う。また超過勤務になるべくならないように、効率的な業務となるように、医師も常に心がけるのと、医療クラークなど他職種の人員拡充も必要。自己研鑚の機会については、必ずしも勤務時間の長さによるものではないと考えられるため、それほどの影響はないと思う。/キャリア12年

病院や診療科によって、人員が足りているか不足しているのかは、かなりのばらつきがあり、一概に超過勤務時間の上限規制を定めるのは、現実的に難しいのではないかと思う。自分の今の立場だけで考えれば、超過勤務はないので、キャリアと生活の両立は問題なくできている。当科はマンパワーがあるので、当直帯は当直医に引き継ぎができ、当直医は翌日午後休がとれるので、無理なく働くことができているが、このような体制をとれる病院は少数派だと思う。科によっては、明らかなマンパワー不足、それに見合わない仕事量(特に若手医師にかかる負担)があるので、勤務時間上限規制を作ったとしても実現は難しいのでは? 根本的な解決はマンパワーの確保と仕事量の調整だと思う。/キャリア6年

「制限」としたところで、結局のところ、患者さんへの手術、検査、治療を提供しようとすると、いわゆる“サービス残業”で、記録として把握されない時間外労働を強いられることになると思う。医師に「制限」をするのであれば、患者さんら社会にも、診療が制限されたり、医療サービスの質が落ちるかもしれないということを周知すべきだ。/キャリア6年

健康を犠牲にしながらの勤務は、歯止めをかけないといけません。ただ現状での上限規制は時間外を申請しないようになるだけでしょう。通常勤務以外に当直、学会、指導などもあります。時間外に反映されない待機も多いです。上限を守ろうと思った場合、週3勤務+週1当直+待機(待機分が時間外)となりますが、今の若手医師勤務の半分程度になるでしょう。勤務医数が倍になれば解決するでしょうが、期待できません。代わりがききづらいこと、休みづらい環境も問題だと思います。当直後は1日休み、待機で呼ばれたら10時間あけて勤務、有給半分以上とるなど、ルールが必要だと思います。業務量削減、医師を守る病院の意識改革、基幹病院への医師増加予算UP、患者の理解あっての時間外規制になって欲しいと思います。/キャリア9年

緊急で呼ばれたり、手術が長引いたりは、外科医にとっては避けられないことで、どれくらいの超過勤務になるかは予測できず、上限を定めることには賛成できない。度がすぎる長時間勤務は別として、個人的には、自己研鑚の機会と思っているので、気にしたことはない。長時間勤務が嫌な人は、QOLの高そうな科に進むと思う。/キャリア5年

上限を定めたところで、自分の代わりにやってくれる人がいないと意味がないと思います。/キャリア11年

私自身はなるべく時間外に勤務したくないと思っており、カンファレンスなどどうしても外せない予定がない限り、通常の病棟・外来業務は時間内に終わらせるようにしています。また、可能なかぎり時間外の対応は電話で行うことが多いです。プライベートときっちり分けることは、とても大切なことだと思います。しかし、当直時間を時間外勤務に含めるのであれば、上記のような月60時間はかなり少ないです。例えば(8〜17時)(17時〜8時)で、月に7回当直があれば、それだけで60時間を越えます。それだと他の時間外勤務ができなくなるので、上限を決めるとしても、もっとゆるい規制にしてほしいと思います。/キャリア3年

そもそも超過勤務時間、上限だけを設けても、それを補う人員が増えないと、結果的に表面上の都合合わせを事務処理上行うだけで、現場ではむしろ超過勤務を申請しなくなるだけ、といったことにつながってしまいます。また、当然ながらレジデントなどの研修時期は、上限を設けるデメリットが大きいことを心配しますが、個人差(やる気、能力)が大きいので、一般論として、上限を設けるものの、それを守ることを推しょうする程度に留めるのがよいかと思います。/キャリア13年

産婦人科勤務ですが、人数不足のため必然的に当直回数は多く、「当直時間の制限」は現場の首をしめるだけで、あまり過労の解消にはならないと思います。むしろ当直翌日に超過分の休暇がもらえる方が余程休まると思います。/キャリア8年

3年目(循環器内科1年目)の時は、自己研鑚のためだと思い、少しでも多くの時間外の緊急患者に関わろうとしたあまり、体力を消耗し、自分自身の受け持ち患者の対応が、疎かになってしまったことがありました。自分で体力をコントロールした上で、(本人の自主性を尊重し上級医が強制したりはせず)自己研鑚のための時間外労働を行うのは認めて欲しいですが、「時間外に働かない人間は認めない」と心理的に上級医が強制してくる姿勢はやめてほしい。/キャリア7年

上限を設けるべきではない。人員が十分なら上限内での職務、また必要な経験は可能かもしれないが、地方の病院は少ない人員で仕事をやりくりしており、医療の質に影響すると思う。/キャリア2年

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