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LINKED plus 病院を知ろう

睡眠障害に苦しむ
患者を救うために。

ヨナハ総合病院

加齢現象ともいえる「睡眠時無呼吸症候群」に対し、
適切な治療を提供し、患者の生活の質を守る。

睡眠時無呼吸症候群の
診断と治療に力を注ぐ。

「夜中に何度も起きてしまう」「家族からイビキがうるさいと言われる」――ヨナハ総合病院の耳鼻咽喉科外来には、このような睡眠障害を訴える患者が数多く来院する。とりわけ問題になるのは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)。睡眠中に気道がふさがり、繰り返し呼吸が停止してしまう病気だ。耳鼻咽喉科の鈴木賢二医師(理事長/頭頸部外科)は次のように話す。「睡眠時無呼吸症候群になると、昼間強い眠気に襲われるため、大人は運転や仕事のミスを起こしやすくなり、子どもでは身体の成長、心の発達、情緒、学業にも影響を来します。正しく診断して、適切な治療をすることが必要です」。

鈴木の診察は、丁寧な問診から始まる。どういうイビキなのか、夜中に何回目を覚ますのか、朝はすっきり起きられるか、日中は眠くなるか、などを詳しく聞く。その上で顎の大きさ、鼻から喉への空気の通り道を注意深く観察し、狭くなっている場所を探る。さらに、1泊入院して、睡眠の質や身体や脳の休まり具合、本当の睡眠時間などの検査を行う。

治療法も、症状に合わせて幅広く提案している。軽症であれば、歯科装具のマウスピースを用い、中等症や重症では、CPAP(シーパップ)療法を用いる。これは、装置からホース、マスクを介して空気を鼻から送り込み、気道を広げる治療法だ。「CPAPがうまく使えれば、この病気を100%改善することができます。但し、鼻から空気を送るため、鼻が詰まっていたり、内腔が曲がっている人には適用できません。また、実際に治療を始めても、鼻マスクや機械の運転音が気になり、途中でやめてしまう方も少なからずいらっしゃいます」(鈴木)。

そうした場合に、同院が積極的に行っているのが手術療法だ。「手術は体への負担はありますが、根本的に治せる可能性があります。子どもの場合、アデノイドやのどの左右にある扁桃を切除することで、ほぼ完全に治癒します。大人に対しては、鼻閉があれば鼻腔改善手術を併用して、口蓋垂、口蓋扁桃、軟口蓋の一部を切除して、気道を広げる口蓋垂軟口蓋咽頭形成術やその変法(CWICKs)あるいは、舌の付け根にある舌扁桃肥大があれば舌扁桃切除術も併用して、全上気道改善手術を行います。手術を受けた方の多くは、ぐっすり眠れるようになったと喜んでくださいます」と鈴木は説明する。

手術のできる耳鼻咽喉科として
地域の期待に応えていく。

これまで睡眠時無呼吸症候群の症例を数多く診てきた鈴木だが、近年、高齢患者が増える傾向にあるという。「この病気は、加齢現象の一つともいえます。年齢を重ねるとどうしても舌やのどの奥の筋肉が落ちて、気道が狭くなってしまうのです」(鈴木)。さらに、病気のベースには、肥満症や、高血圧、糖尿病といった生活習慣病が潜んでいることも多い。「たとえば、高血圧との関わりです。睡眠時無呼吸症候群になると、体内に取り込む酸素の量が減り、心臓が多くの血液を流して補おうとします。その結果、夜間もずっと血圧が高い状態が続き、脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクも高くなります。将来の重篤な疾患を予防するという意味でも、早期に適切な治療をすることが非常に重要です」と鈴木は話す。

健康長寿に深く関わる睡眠時無呼吸症候群を治療するため、医療も日進月歩で進んでいる。CPAP治療では、鼻マスクの改善、装置の小型化などが進んでいる。また、手術においても、新しい治療法が生まれている。その一つが、舌下神経刺激療法だ。

これは、ペースメーカーのように、体内に電気神経刺激装置を埋め込み、舌下神経を刺激することで舌筋の収縮を誘発させ、気道を広げる療法である。「当院では今、この新しい治療法に着目して、勉強しているところです。ゆくゆくは、CPAPが使えない人や喉の奥を切除する手術に抵抗がある人に適用していきたいと考えています。この他にも、有効な治療法、手術法があれば、可能な限り導入し、地域の皆さんに還元していきたいですね」(鈴木)。

現在、桑員地区で、睡眠時無呼吸症候群などに対する手術を行っている耳鼻咽喉科は、同院しかない。「大学病院からも数名の医師の応援を受け、安全で質の高い手術を行っています。これからも地域の期待に応え、技術を磨いていきたいと思います」。鈴木は力強い口調でそう締めくくった。

  • ヨナハ総合病院の耳鼻咽喉科では、平成9年(1997年)から専門的な検査を開始し、20年以上の実績を持つ。現在は日本睡眠学会の施設認定を取得し、学会認定医師・学会認定検査技師が診療に携わっている。
  • 月曜日から土曜日まで専門外来として「睡眠時無呼吸外来」を開設。睡眠障害に悩む人たちに対応している。

聴覚・嗅覚・味覚を守る
耳鼻咽喉科の存在意義。

  • 耳鼻咽喉科は、聴覚、嗅覚、味覚という重要な機能を扱う診療科である。小児から高齢者まで患者層は幅広いが、近年は高齢患者が増加。今回特集した睡眠時無呼吸症候群をはじめ、加齢性難聴、悪性腫瘍、嚥下障害などを患う人が増えている。
  • 超高齢社会において、高齢者の生活の質と健康長寿を守るために、耳鼻咽喉科が果たす役割は大きい。その責務を果たすべく、ヨナハ総合病院は診療機能の充実に力を注いでいる。

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