LINKED編集部が有識者と考える
「ずっと安心」を実現するために
高齢者の医療・介護、出産・保育支援策、この2つは日本の最重要課題です。他国の事例も参考にしつつ、日本の実情に適した取り組みが肝要です。
北欧諸国の諸制度は示唆に富んでいます。例えば、スウェーデン。地方行政組織はレーン、ランスティング、コミューンの3層構造。前2者のエリアはほぼ一緒で、ランスティングが医療を主な業務とする一方、レーンはそれ以外の業務(公共事業等)を担当。医師、看護師は原則として全員ランスティングの職員です。
日本の3次医療圏に相当するランスティング内の病院の機能分化が進んでおり、国民の医療サービスへのファーストコンタクトは地域医療センターに一元化されています。
コミューンは市町村に相当し、介護が主な業務です。回復期を過ぎた患者はランスティングからコミューンに引き継がれ、コミューンがケアプランを立案・実施します。
日本の地域医療構想は、言わばスウェーデンのランスティング的組織を作る取り組みとも言える大改革です。
フィンランドの「ネウボラ」は母子支援組織。妊娠判明時から子供の就学時まで、母子のサポートを同じ看護師、保健師が一貫して行います。国民からの信頼度の高い組織です。
日本の地域医療構想は、こうした分野にもウィングを広げることが期待されます。
成功例、先進例の創造が急務です。