LINKED編集部が有識者と考える
「ずっと安心」を実現するために
住み慣れた地域で、医療や介護が安心して受けられる社会を目指し、<地域包括ケアシステムの構築>と<医療機能の分化・強化、連携の推進>とが国策として同時進行している。平成30年度からの第7次医療計画において、各医療圏の病床数を規制する基準病床数の算定にあたって、一般病床数では平均在院日数短縮の効果分が、また療養病床数からは、介護施設や在宅医療等で対応可能な数が差し引かれることになっており、愛知県でも合計で5000床分ほど少なくて済むとされた。それゆえに、日々、限られた病床をやりくりしている病院にとっては、病院完結から、在宅を含む地域完結への流れは必然である。
超高齢化社会では、医療と介護の境界線がますます不明瞭となり、両者は連続し、かつ複合化しつつある。介護サービスを必要とする方々の背景となる疾患は、脳血管疾患や運動器疾患のみならず、認知症・心不全・腎不全・慢性閉塞性肺疾患・がん等、多彩である。したがって、介護サービスにおいても、生活介護や身体介護と同時に、服薬状況や健康・栄養摂食状態の観察など、医学的な目配りがきわめて重要になる。医療側と介護側の相互連携の必要性は論をまたないが、両者の間に依然としてギャップがある現状では、その橋渡しのためにも、医療マインドとスキルとを持った人財の存在が欠かせない。
システムでありネットワークである、地域包括ケアのキーパーソンとして、看護職の活躍をおおいに期待したい。そのためには看護師自身の意識変化を促すこともさることながら、病院組織自身が、地域医師会との連携を前提として、訪問診療・訪問看護にこれまで以上に注力し、地域で活躍できる人財を育成し輩出してゆくべき時機が到来している。