緊急特集
医療職の働き方改革と
地域医療は両立できるか。
働き方改革が議論されています。長時間労働、少ない休日、低い生産性。日本社会の構造問題です。
医師の世界も例外ではありません。と言うより、最も顕著にその構造が顕現化しているのが医師の世界と言って過言ではありません。
総務省の職業構造基本調査によると、週労働時間が60時間を超える職種別雇用者の割合は医師が41.8%と最も高くなっています。全職種平均は14.0%、医師に次ぐのは自動車運転従事者の39.9%です。
そのような勤務実態になる原因はいくつかあります。例えば、病床100床当たりの臨床医師数を見ると、日本は17.6人。スウェーデンの158.7人、英国の102.4人、米国の88.6人と比べて極めて少なく、過密労働の原因のひとつです。
一方、人口1000人当たりの臨床医師数は、日本の2.4人に対し、スウェーデン4.1人、英国2.8人、米国2.6人とそれほど差がありません。
つまり、病床数の多い病院勤務医が少なく、診療所の臨床医が多いという構造を表しています。
さらには、人口1人当たりの外来診察回数は、スウェーデン2.9回、英国5.0回、米国4.0回に比べ、日本は12.8回。これも病院勤務医の過密労働につながっています。
医療の構造にメスを入れ、改善しない限り、医師の働き方改革を訴えても実現しません。医師の働き方改革は、日本の医療構造改革そのものです。