緊急特集

医療職の働き方改革と
地域医療は両立できるか。

Human’s eye

医療に関わる
人格の向上を

今年春、医療従事者、特に「医師」の疲弊が問題視され、医師と他の医療職間で行う「タスク・シフティング(業務の移管)/タスク・シェアリング(業務の共同化)」が厚労省の検討会より提言された。具体的には、「フィジシャン・アシスタント(PA)」の創設や、看護職の特定行為研修制度を拡大した、「特定看護師」の養成等があげられている。

特定看護師は、米国などで成果を上げている、看護の基盤を持ちつつ医師の指示を待たず、一定レベルの診断や治療等を行うナースプラクティクショナー(NP)に範をとったものであろう。ここには、自律した看護職像があり、適切な裁量権の行使は「使命感」「誇り」「働きがい」に繋がっているという。しかし自律には責任が伴う。医療技術や知識修得への厳しい鍛練とともに、責任に耐えうる人格が磨かれる養成教育が必要だろう。そして、新たな職種が既存の職種に受け入れられ、相互が尊重しあい、コミュニケーションをよくし、連携を深めることができる環境を医療界に醸成することなしに、チーム医療や地域医療で成果を上げることは難しいであろう。

医師の働き方を変えるということはその提供体制を変えることでもある。資格試験や医行為の範囲を定める法整備とともに、各医療者の人格、医療界という組織の人格の一層の向上が求められていくと思う。

愛知県看護協会 会長 鈴木 正子 氏

PROFILE

愛知県看護協会 会長 
鈴木 正子
看護師、助産師。昭和49年、名古屋大学医学部付属助産師学校卒業。同年、名古屋掖済会病院に就職。昭和54年、医療法人豊田会刈谷豊田総合病院に就職。平成16年、同院看護部長に就任。平成26年、愛知県看護協会会長に就任。