今、医療や看護についての政策の多くは地域が対象です。地域包括ケアシステムにおいて医療職は、地域のどこにいても、患者さんをはじめ、そこで暮らす人々の様々なニーズに応えられなければなりません。看護職も、地域では、健康増進・予防措置・治療・療養それぞれの場面で、医療だけでなく生活をマネジメントする視点も合わせ持つ必要があるのです。
例えば、患者さんからの問いかけに対し、限られた時間の中で、自分に対応できること、対応すべきことは速やかに対処し、そうでなければ医師など他の専門職に回付するには、判断力とバランス感覚を培わねばなりません。看護師として、その場で自らが考え、決定し、行動し、結果に責任を持つこと、これは一職業人としての「自立」を意味します。在宅医療が進められるなか、看護師が訪問看護ステーションを運営する道がすでに開かれています。経営には採算性やリスクへの的確なマネジメントが必要です。このことからも看護職に「自立」が求められていることがわかります。
「病院から在宅へ」という潮流の中で、看護職の未来の可能性を広げるため、看護協会も組織としての「自立」し、これまでの概念や実績にとらわれない広く斬新な視野を持ち続けることで、看護界をリードしていかなければと考えています。