2013年の社会保障制度改革国民会議報告のなかで、「急速な高齢化の進展による現実的な変化に対応するためには、病院完結型医療から地域完結型の医療への転換が求められているが、現状は、関係者の努力にもかかわらず、結果的に提供される医療の総体が不十分かつ非効率なものになるという合成の誤謬に陥っている」と指摘されている。この問題解決のために、<地域包括ケアシステムの構築>と<地域医療構想による医療機関の機能分化>とが同時進行しているわけであるが、医療機能の分化は、あくまで医療関係者の自主的な協議が前提となっている。
そこで、愛知県下の五つの病院団体(*)からなる愛知県病院団体協議会が結成され、この協議会の名のもとに、県下全ての地域医療構想区域ごとに、多職種が参画する自主的な協議体が発足した。それぞれ固有の名称を冠した協議体には、高度急性期医療を担う病院から地域密着の医療介護サービスを提供する法人、地域で奮闘する有床診療所まで、機能も規模も異なる様々な組織に所属する関係者が参加して顔の見える関係が築かれており、機能分化を念頭に置いた連携推進の取組みをおこなう貴重な場となっている。地域によっては看護職や地域連携実務者の部会も派生し、それぞれの立場からの取組みも始まっている。たとえ参加者個々の関心領域や活躍領域が限られていても、それらを統合する場が存在することによって、疾病の超急性期医療から在宅医療・介護まではばひろく俯瞰する視野が提供されることになる。このような自主的な取組みの場へ、看護職が積極的に参画することによって、地域医療のキーパーソンとしての看護職の可能性は大いに広がるであろう。
前述の社会保障国民会議報告には、のぞましい医療に対する国民意識の変化が不可欠であるとも記されているが、あらためてその意識変革が問われているのは医療者自身でもある。