戦後、自治体病院を含む公立病院は地域医療の中核を担ってきましたが、今日、その役割を再整理する途上にあります。
2007年、自治体病院を所管する総務省が「公立病院改革ガイドライン」を策定。その役割を「採算性等の面から民間による提供が困難な医療を提供すること」とし、期待される医療機能の具体例として、第1に民間病院の立地が困難な地域での医療の提供、第2に救急・小児・周産期等の不採算・特定部門医療の提供、第3にがんセンター・循環器病センター等による高度・先進医療の提供、の3つを掲げました。
今日では、都道府県毎の「地域医療構想」「保健医療計画」策定、及び「地域包括ケアシステム」の構築が求められています。自治体病院は民間病院の「補完」に徹するべきとの意見も聞きますが、安心できる医療提供体制を両者が協力して構築することが肝要です。医療提供側の論理に陥ることなく、国民・患者の立場に立った調整が期待されます。
もちろん、自治体病院には効率化等の努力が求められますが、不採算性の背景には、民間病院との調整が不十分、役割分担が不明確であることも影響しています。
自治体病院は地域の資産です。行政及び医療関係者の真剣な努力が必要です。