「ずっと安心」を実現するために
2025年、団塊の世代が75歳の後期高齢者に達するまでに、厚生労働省が取り組む、“地域医療構想”には“治す病院”としての基幹病院と“治し支える病院”としての中規模病院との間に医療の質の違いを鮮明にし、これらの中規模病院は基幹病院に従属して、これを支えるとともに、患者さんには治す医療のほか、患者さんが在宅に復帰できるようリハビリテーションや介護も行なって、支え、指導することが求められています。
しかし、三重県はもとより、岐阜県や愛知県の基幹病院となりうる病院でさえ、豊富な人材を確保して、高度な急性期医療を担える病院は極めて限られています。従って、中規模病院で、“治し支える病院”であっても、それぞれの病院の治療の特徴を維持しつつ、機能分担して、“治す病院”に匹敵する高度な急性期治療も可能な体制を堅持していく必要性が求められています。
特に、三重県は南北に長く、人口減少の多寡に限らず、経済規模や生活環境にも南北で大きな隔たりがあり、過疎地域が多いことから、救急医療を担う医師の偏在のみならず、在宅医療に必須のリハビリテーションや介護の専門家も限りなく北に多く、南に少ない現状ではないかと考えられます。
従って、従来型の大学病院からの医師派遣のみでは、地域医療構想の実現には極めて不十分と言わざるを得ません。過疎地域の医療を単なる僻地医療という捉え方ではなく、基幹病院にも、地域医療圏ごとで不足する医師の派遣は勿論のこと、リハビリテーションや在宅医療のエキスパートを派遣できるように体制を整え、中規模病院との密接な連携を図っていくことが基幹病院の新たな役割ではないでしょうか。