LINKED plus 明日への挑戦者
地域医療の最適化と、在宅医療・介護への支援強化。
そのために大雄会は変わる。
社会医療法人 大雄会
90年以上の歴史を有する、社会医療法人大雄会。
地域医療が直面する課題に対して、率先して自らのあり方を変え、
地域医療のアライアンスを推し進める歩みが始まった。
社会医療法人大雄会に、今、新たな動きが生まれようとしている。それは、尾張西部医療圏(一宮・稲沢市)の次代を見つめた、〈医療機能の最適化〉と〈在宅医療・介護への支援強化〉への挑戦である。
その背景にあるのは、社会と医療の大きな変化だ。すなわち、我が国は少子超高齢社会を迎え、人口構造・疾病構造の変化とともに、医療・介護・福祉サービス需要の増大が進んでいる。それに対して国は、医療費削減を前提に、在宅医療を含め、地域の医療機関が役割分担して、患者一人ひとりに最適な医療を、効率的に提供する医療の制度改革を進行中。併せて、高齢になっても、病気を抱えていても、住み慣れた地域で暮らし続けることができる、新たなコミュニティづくりにも着手した。
そうした社会の変革に、医療機関はどう対応するか。大雄会の理事長 伊藤伸一は言う。「従来のように個々の医療機関が、個々の価値観で、自らだけを見つめて進むことは、最早、難しくなりました。となると、地域全体を俯瞰して、地域医療を再構築するためのムーブメントを起こす。そして、複数の医療機関で、地域医療の最適化に挑戦することが必要だと考えます」。
地域医療の最適化とは、地域ニーズに合わせ医療の過不足をなくすということ。その視点でいうと、本医療圏は急性期病院が多く、それ以降の病期(回復期・療養期)への対応病院、在宅医療・介護サービス事業所は少ない。「重複する機能を最小限にし、足らない機能を埋める。そして、余裕のある医療資源は、今後ますます需要が拡大する在宅医療・介護サービスへの支援に活用する」ことだと伊藤は言う。「但し、各病院にはそれぞれ強みがあります。それらは永年に亘り心血を注ぎ続けた結晶であり、地域にとっても宝物。そうした強みは尊重し活かし合う。つまりは、地域医療のアライアンス(対等な立場での事業体同士の連携)を組むという発想です。そのためには、胸襟を開き〈対話〉をすることが不可欠ですね」。
地域住民にとって、複数の医療機関を利用することのマイナス面はないのだろうか。「鍵になるのが、アライアンスを組む複数の医療機関・施設が患者さんのフロー(流れ)を、協同でマネジメントすることです。自院での治療が終了したら、切れ目なく確実に次のステージに繋ぐ。そのためには、アライアンスのメンバー施設同士が情報を共有しカバーし合うことが大切です。また、在宅療養中に容態が悪くなったら、すぐに病院で治療を受けることができる。こうした循環を地域に創り上げたいと考えます」。
地域医療全体を見つめて、医療機関にアライアンスを呼びかけた大雄会。その声は、伊藤と同じく真摯に地域医療を見つめ、志を同じくする複数の病院経営者にも届いている。まさにこれから胸襟を開いての〈対話〉が始まろうとしている。
大雄会は、尾張西部医療圏において、高度急性期医療を中心に、医療・介護を包括的に提供する社会医療法人(※コラム参照)である。大正10年一宮市が市制施行された3年後の、大正13年に誕生。以来、昭和4年に国産第1号のレントゲン「比叡号」の導入や、がん治療がまだ研究途上にあった昭和31年には放射線治療のためのコバルト診療装置を設置するなど、〈進取の精神〉を貫く先鋭的な民間病院として、いくつもの時代を通して、地域が必要とする最新の医療を積極果敢に導入。現在では、平時はもちろん、災害時にも遺憾なく力を発揮する救命救急機能、高度な水準で、総合的な診療機能を発揮する臓器別の専門医療機能、そして、老人保健施設や訪問看護などの在宅支援機能、さらには健診・医科学研究・教育(臨床研修病院・看護大学実習病院として)機能など〈公益性〉を第一義に、実に多様な機能・事業を展開している。
そして、今、取り組むのが、地域医療のアライアンス。そのためには、「大雄会自体の自己改革が必要」と伊藤は言う。「ムーブメントを起こす以上、地域医療の最適化に向けて、足らない機能を埋める。そう考えたとき、まず私たち自身が法人内において、今後、必要とされる地域医療にふさわしい、〈医療機能の最適化〉を図らなくてはなりません。医療資源の配分を見直す。最適配置を考える。人材育成を地域とともに行う...。その過程のなかで、新たな医療領域への挑戦、病院と在宅とを繋ぐ機能の充実による、在宅医療・介護を担う方々への支援の強化など、自ずと答えが見つかるものと考えます」。
確かに、一般的に見ると、医療資源は急性期医療に集中している。本医療圏においては、歴史に裏打ちされた、総合的な経営体力を有するのは大雄会である。人材、機能、施設、設備など、いずれの医療資源も多大だ。そうした資産を、これまで大雄会は高度急性期機能の錬磨に、ひたすら注ぎ続けてきた。もちろん、今後もその歩みを止めるものではない。だが今後は、そこだけに固執せず、しなやかな発想で地域医療を見つめる。そして、大雄会に何ができるか、何をしなければならないかを、法人職員全員で考える。それが地域と、アライアンス病院や施設に対する責任であると、伊藤は考えている。
最後に伊藤はこう語った。「医療には〈継続性〉が重要です。一時的な爆発力だけで、地域医療を守ることはできません。大雄会はこの地に生まれ、この地に育てられてきました。もちろん、これからもこの地とともに生きていきます。大雄会に期待されていることを少しでも多く実現するために、私たちは歩み続けます」。
いくつもの時代を、地域とともに歩んだ大雄会。救急医療、高度な臓器別専門医療、そして、在宅支援機能など。時代が求める医療を、常に地域に先駆け導入。その高度化、安定化に、心血を注いだ歴史がある。
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