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LINKED plus 明日への挑戦者

超高齢者社会で必要な
地域包括ケアの核となる。

<リハビリテーション>。
その視点から見つめた、医療・介護・福祉を提供。

医療法人社団 誠道会

古く大正時代から現在に至るまで、各務原市東部の鵜沼地区で
地域医療を支えてきた医療法人社団 誠道会。
現在は、各務原リハビリテーション病院を中心に、
介護施設や通所サービス、訪問看護・介護事業などを幅広く展開。
地域の人々の安心・安寧な暮らしを支えていこうとしている。

職員共通の目線は、
患者や利用者が、生活を取り戻すこと。

医療法人社団 誠道会には、47名のリハビリスタッフ(セラピスト/理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、歯科衛生士)が所属する。各務原リハビリテーション病院をはじめ、誠道会の各拠点に配属され、疾患や怪我の症状が安定した後の回復期(回復能力の高い時期)から、在宅で生活する時期の生活期までを繋ぎ、質の高いリハビリテーションの提供に努めている。

その統括を担う理学療法士の岸本泰樹(リハビリテーション科統括主任)は言う。「私たちがめざすのは、患者さん、利用者さん一人ひとりが〈自分の生活を取り戻す〉ことです。そのためには、単に身体機能や生活動作などが向上すればよいわけではありません。老化に伴い生活は変容しますから、ご本人がそれを認識し、生活行動を変化させなくてはならない。従って、リハビリスタッフは常に先を見越し、そのときどきの日常生活に直結したアプローチが必要となります。当院では、スタッフが患者さんの家に行き、生活の場を確認する。それに合わせた実践的な身体・動作訓練に重きを置く。また、生活スタイルの提案、家の改修提案なども行います。介護施設や訪問リハでは、日常生活動作に必要な機能維持とともに、体力や筋力の維持・向上を目標に、生活の場を使って無理なく続けられるトレーニング法の提案もします。それらの結果、日常生活での活動を高め、家事や社会活動に少しでも参加していただくことが、私たちの目標なのです」。

このリハビリスタッフの目線は、他職種も同じだ。各務原リハビリテーション病院の看護総師長である福井博子はこう話す。「私たち看護師は、第一に患者さんの全身状態を観察・評価し、必要に応じ医師やリハビリスタッフなどに繋ぎ、患者さんに必要な治療環境を整えます。その上で、看護師や介護士が24時間患者さんをケアする立場から、食事、着替え、排泄などの生活援助を通じて、患者さんが〈自分でできること〉を増やしていくよう働きかけています。リハビリスタッフが患者さんに必要な身体機能や動作を指導するのに対し、私たちはその動きを病棟生活で実践し、日常の生活動作として定着させていく役割といえますね」。

福井は、同院が新設された翌々年(平成25年)に赴任し、看護部の組織や教育システムの基盤づくりに注力する人物。「まだ完成したとはいえませんが、スタッフが向上心を持って学び、働ける環境を整備してきました。幸い、当院には意欲的で、患者さんへの思いやりにもあふれる職員が多く、その良さを患者さんが〈自分の生活を取り戻す〉ことに活かしていけるよう、これからも努めていきたいと思います」と抱負を語る。

人生のプロセスに沿って、
ソフトとハードの両面を整備。

リハビリスタッフをはじめ、看護・介護職員も一緒になって、患者の生活再建に力を注ぐ誠道会。その根底には、「地域の人々のケアサイクルを、途切れることなくずっと支えたい」という、誠道会の理事長・磯野倫夫医師の強い思いがある。ケアサイクルとは、何だろうか。

「一人の人が受ける連続したケアのことです。ある高齢者が入院治療を受け、退院して自宅に戻ったとします。その人は必要に応じて、在宅医療や介護サービスを受けながら暮らし、その後、またどこかが悪くなれば入院治療が必要になる。あるいは、生活動作能力が落ちて、施設への入居を選ばざるを得なくなる。そしてまたいつか入院治療が...という具合に、高齢者には病院、自宅、施設でのケアを必要とするサイクル(周期)があります。高齢社会において重要なのは、このサイクルをずっと支える機能が地域にあるかどうか。そして、いずれのサイクルでも、そこで受けるケアを通して、どこまで自分らしい生活を続けることができるかどうかです」(磯野)。

支え続ける機能として、誠道会は、患者・利用者の人生のプロセスに沿って、病院、介護施設、デイケア、デイサービス、訪問介護・看護事業などを展開し、継続的なケアの提供に力を注ぎ続けてきた。今、その歩みをさらに広げて挑戦するのは、社会福祉法人 成光会の運営(平成28年11月設立)である。狙いは、地域に不足する福祉サービスの充実。第一弾は、特別養護老人ホームの開設(平成29年秋予定)だ。これは比較的安い料金(低所得者に対する減額制度もあり)で、重度の要介護者や緊急性を要する高齢者が優先的に入所できる施設。磯野は言う。「経済的に、また、家庭環境によって、条件が見合う施設が見つからないケースがあります。そうなると福祉の領域からそれを見つめていかざるを得ません。地域に不足しているのなら、私たちが率先して担っていこうと考えました」。

医療・介護・福祉を繋いで地域を支える誠道会。その根幹となる視点は、〈リハビリテーション〉である。「リハビリテーションの定義は、〈人が人として地域で人間の尊厳を持って生きることを手助けする〉というものです。それには、自立した生活のために、身体的な各機能を回復・維持することと合わせて、どのような社会参加が可能なのか。そこまで見つめる目が不可欠です。当法人は、職員一人ひとりがリハビリテーションの視点を忘れることなく、地域の高齢者が、自立した生活、健康的な生活を送り続けるために、基盤となるソフト&ハードの両面を創造し提供し続けていきます」。磯野は力強い口調でそう締め括った。

「地域の人々が高齢になっても、人間の尊厳を持って心豊かに暮らせるよう手助けしたい」。磯野理事長はそう考えて、必要な医療・介護・福祉ネットワークを、張り巡らせる。その活動は、地域社会の幸せな未来へと繋がっていく。

  • リハビリテーションというと、身体的な機能の回復に働きかける訓練そのものがイメージされるが、本来の意味はもう少し広い。単なる機能回復ではなく、再び人間らしく生きる状態に戻るための、すべての活動がリハビリテーションなのである。
  • 各務原リハビリテーション病院という名称の〈リハビリテーション〉には、その意味が込められている。すなわち、地域の人が高齢になっても、障害を抱えても、人間の尊厳を持って生きられるよう、生活再建や社会参加を支援することが同院の使命であると、明確に打ち出したのだ。
  • それに加え現在では、〈予防〉の視線も生まれた。医療面では〈糖尿病予防教室〉、介護面では〈鵜沼・元気チャレンジ教室(体操教室)〉をスタート。地域みんなで一緒に学び身体を動かし、少しでも長く健康な状態を保つこと自体に支援を行うなど、多角的な取り組みが行われている。

地域包括ケアシステムの
構築を見据えた挑戦。

  • わが国では、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年を見つめ、市町村での地域包括ケアシステム構築が急がれている。これは、高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らせるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援のサービスを、一体的に提供しようというものだ。
  • 誠道会の姿を見ると、まさにこの地域包括ケアシステムと重なる。磯野理事長は「介護保険の話が始まった平成6年頃から、将来的な介護需要の急増は当然予測できました。ただ、介護が単独で存在するのは無理で、医療と介護の複合サービス、最終的には住まいも必要になると考えました。その頃からケアサイクルを見つめ、法人内での包括的なケアをめざしてきたのです」と言う。
  • 地域包括ケアシステムの概念が生まれる前から、その必要性を見つめてきた磯野理事長。果敢に挑戦を続ける同法人のこれからに注目していきたい。

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