LINKED plus 病院を知ろう
平成32年、新病院移転。
安心と満足を提供する、
地域のための病院をめざす。
医療法人 尚徳会 ヨナハ総合病院
昭和50年、桑名市和泉に産婦人科の単科病院として誕生。
以来、40年以上、社会と地域を見つめ果敢な挑戦を果たし、
現在では、ヨナハ総合病院として、救急・急性期・回復期・療養期・在宅医療にウイングを広げる。
そして、平成32年新築移転。そこでめざす医療とは?
ヨナハ総合病院は、平成32年にヨナハ産婦人科小児科病院と合併し、桑名インター蓮花寺方面に新築移転する。新病院を率いる院長の鈴木賢二医師は、移転後の病院について「救急・急性期・回復期医療を軸とした多機能病院をめざしています」と語る。
具体的にいうと、第一には、一般的な診療領域における救急機能である。「極めて高度な専門的治療が必要な場合は、三次救急病院への搬送になりますが、そのときでも可能な処置は当院で行い、きちんと適切な医療機関へと繋いでいきます」(鈴木)。
第二には、産婦人科・小児科、内科系を中心とした急性期医療機能だ。鈴木は「当院は元々産婦人科からスタートした病院であり、いわばコアの部分。広域圏の患者さんに対応してきましたし、今後もその姿勢に変わりはありません」と言う。
第三には、病気から生活復帰をめざす回復リハビリテーション機能。第四には、地域包括ケアシステムや在宅療養生活を支える支援機能。そして、第五には、各機能を有機的に繋ぐ在宅患者支援機能である。鈴木は言う。「医療は、病院での入院中心から在宅中心へと変わっていきます。今後は地域のなかで、病気を持ちながらも、いかに生活の質を保ち療養を続けるかという観点が大切。当院では法人の在宅関連事業所はもちろん、組織を超えて地域とともに、患者さんのケアの一貫性を繋ぐことに全力を注ぎます」。
こうした新病院構想に対して、母体である医療法人尚徳会の副理事長・古橋亜沙子医師(麻酔科)はこう語る。「私たちは常に自己評価をし、工夫や改善に努め、地域が必要とする医療提供に努めてきました。小規模病院で急性期医療を行うのは、なかなか厳しくもあります。でも、急性期機能を損なうと、地域からの付託に応えることはできません。ですから経営的には厳しくても、急性期は堅持し続けます。そして、各機能を有機的に結びつけ、新しい病院をフル稼働させていきたいと思っています」。
基本的な考え方は、〈患者に安心と満足を提供する〉、そして、〈患者や家族にとって一番いいことをする〉。その上で、高度医療と生活を繋ぐパイプ役をめざすと言う。「高度急性期病院だけでも、在宅医療だけでも地域医療は成立しません。私たちは、院内でも地域全体でも相互のコミュニケーションを大切にし、しっかりと太いパイプ役として歩んでいきたいと思います」と、鈴木は力強く語る。
病院の新築移転を見つめ、病院全体の纏め役として白羽の矢が立った、鈴木賢二院長。将来構想を固め、職員の気持ち、方向性を、一つの方向に纏める役割を担う。「当院の方向性をきちんと伝え、地域の将来のために、職員のモチベーションを上げ、気持ちを揃えていきたいですね」。
現在、医療環境の変化に伴い、病院経営はなかなか難しい状況にある。そうしたなかでの病院の新築移転。ヨナハ総合病院はなぜそれを踏み切るのか。
同法人理事長の与那覇 尚医師は語る。「当法人はこれまで、地域が必要とするものを、できるだけ速やかに実現してきました。制度が整ったから行うのではなく、自ら社会ニーズを調査し、トライアルを繰り返し形にしてきたのです。そのなかで、今後の少子高齢社会では、医療が大きく変わることは以前から解っていました。そのとき必要な機能を考えたら、現在の老朽化した建物では成し得ません」。
10年ほど前から場所を探し続け、ようやく見つかったという。即決で経営判断を下した。理由は、桑名インター蓮花寺エリアが、人口増加が進み急発展しつつあること。その発展に寄与することである。
その上で、今後高い確率で発生が予測されている、南海トラフ大地震においては、沿岸部地域での津波浸水は甚大なものと予想されている。蓮花寺エリアは高台にあり、同院自体が被害を回避できることはもちろんだが、万一のとき、桑名市のライフラインとして同院が機能し、地域を支える必要がある。そうした考えが経営判断を後押しした。
「新病院においては、高齢者を支えるとともに、子どもを育てる人を支えたいと思います」と副理事長の古橋は言う。「地域に、当院があるだけで安心と満足がある。そんな存在になりたいですね。そのためには、患者さんや地域の方々が病院に来るのを待つのではなく、こちらから出かける医療であることが大切。自ら寄り添う医療ですね。私たちが病院だけでなく、在宅医療に力を入れ、ウイングを広げてきたのもその布石です。新病院では、広げたウイングを見つめ直し、さらに最適化させる。地域社会のために、医療と生活を繋ぐ応援団となる。そこにこそ私たちのアイデンティティがあります」。
新病院への移転に向け、古橋副理事長は、総合力、組織力を高めたいという。「完璧を求めたら、まだまだ課題はたくさんあります。当法人には、ツール(機能)は小規模ながら揃っていますから、新しい病院でツールを活かすために、一つひとつ、職員みんなと相談し、改善を図っていきたいですね」。
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