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みよし市民病院
市民の健康を守るために
検査課全員で広報活動に取り組む。
「脈をとって脳卒中・認知症・心不全を予防しよう」「こんな方は心臓超音波検査を受けましょう」−みよし市民病院の院内を歩くと、壁面に貼られたさまざまなポスターに出合う。どれも印刷されたポスターとは違い、手づくりの温もり感が漂う。これらのポスターを作っているのは、検査課のメンバーたちだ。そのうちの一人、大坪洋子(臨床検査技師)に話を聞いた。
「病気を早く発見するには、定期的な検査が欠かせません。そのために、市民の皆さんに少しでも検査のことを知っていただきたいと考え、数年前からメンバーみんなで手分けしてポスターやパンフレットを手づくりするようになりました。どんな内容にするかは、スタッフそれぞれが検査のデータや患者さんの動向などを見ながら考えて、決めています」。
検査課で行っている検査は、大きくわけて検体検査と生理検査の2種類。検体検査は採血した血液から貧血・肝機能・腎機能などを調べたり、尿中の細胞を顕微鏡で調べるもの。生理検査は、心電図や肺機能検査、心臓超音波などを指す。どの検査も専門性が高く、内容も日々進化しているため、市民からすると「知っているつもりで知らない」ことも多い。「たとえば、動脈硬化の進行度を調べる検査があります。これは、手と足の血圧の比較(ABI)や脈波の伝わり方(PWV)を調べるものですが、動脈硬化のリスクの高い方には、ぜひそうした検査を受けていただきたいですね。もし検査で引っかかったら、血管外科の先生に診察していただくような体制も整えていますから」。そう話すのは、同じ検査課の水野茜(臨床検査技師)だ。
日常業務に加えて、広報活動を行うのは大変ではないだろうか。「大丈夫です。他部署の方から『検査をアピールしてくれて助かります』と言ってもらうと、やりがいを感じますね。また、検査の広報活動は、私たちだけではなく、病気に関わる表現は院内の先生の監修を受けたり、事務のみんなにポスターの掲示を手伝ってもらうなど、他の部署の協力も得ながら進めています」と、水野は笑みを浮かべる。
検査課の職員が広報活動に力を注ぐ背景には、偶然行った検査で、思わぬ疾患が見つかることが多々あるからだ。「たとえば、眼科の手術の前に行った心電図の検査で、心房細動(心房が細かく震えて脈が不規則になる病気)が見つかったり、骨折で入院された患者さんに重症の心臓弁膜症が見つかることもあります。それらは運よく見つかったケースですが、偶然の検査に頼ることなく、何か病気があれば早く見つけてあげたいと常に考えています」と大坪は話す。
また、通院患者でも、主疾患に関係のない検査への関心は低いという。「たとえば高血圧や糖尿病でずっと当院に通っていらっしゃる方でも、心電図や心臓超音波検査は何年も受けていない、という方がたくさんいらっしゃいます。でも実は、糖尿病から動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞を発症することも多く、異常の有無を知るには心電図検査が有効です。そういうことも市民の皆さんに知ってほしいですね」(水野)。
一方、市民にとっては、身近な市民病院の最新設備を使って、必要な検査をひと通り受けられるメリットは大きい。「当院は大学病院などとは違って、どの検査もご都合のいい日程で速やかに受けられる利点があります。たとえば、ホルター心電図検査(心臓の状態を24時間記録する検査)なども、予約でお待たせすることはほぼありません。また、先生と私たちとの距離が近いので、検査で何かあればすぐに先生に伝え、患者さんに丁寧に説明できる体制も整っています」と、大坪は強調する。
さらに、水野は診療所との連携強化にも思いをはせる。「診療所の先生方にも、当院の検査機能をもっと気軽に利用していただきたいと考えています。診察して何か疑わしい疾患があれば、検査を依頼してほしいですね。診療所の先生としっかり連携することで、市民の皆さんの病気の早期発見に貢献していきたいと考えています。
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