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LINKED plus 病院を知ろう

年老いても安心して
暮らせる地域をつくる。

みよし市民病院

伊藤 治院長が語る、
みよし市民病院の存在意義と将来ビジョン。

他院とは一線を画す
病院思想を掲げて。

---みよし市民病院は今年、創立60周年。これまでの歩みをざっと教えていただけますか。

伊藤 当院の原点は、昭和39年に三好町農業協同組合より三好町へ移譲移管された「三好町立三好診療所」です。最初は小さな診療所でしたが、その後、入院患者さんの受け入れを開始し、平成13年「三好町民病院」へ。そして、平成22年、市制施行に伴い「みよし市民病院」に改称され、現在に至ります。

---今の病院の形になったのは平成13年、ということですが、当時の設計思想はどういうものだったのでしょうか。

伊藤 当院は初代の病院事業管理者である柴田時宗先生が、超高齢社会を見越して「市民が年老いても安心して暮らせる地域社会を支える病院」をめざして設計されました。一般に自治体病院は命を救う急性期医療を中心とした設計ですから、それとは一線を画した、独創的な思想だったと思います。

---具体的には、どんな特徴がありますか。

伊藤 まず急性期の医療を提供する一般病床(68床)の他に、慢性期の医療とリハビリテーションを行う療養病床(54床)を備えたケアミックス病院であることですね。急性期医療は限られた病院規模のなかで二次救急を中心に提供しつつ、同時に急性期から在宅復帰、その後の療養まで支えるところに力を注ごうと考えました。そのため、院内に訪問看護ステーションの他、介護福祉の相談窓口として、みよし市の地域包括支援センターも併設され、当時から在宅医療にも取り組んできました。

---その考え方は現在も変わらないのでしょうか。

伊藤 はい。柴田先生の思想を2代目の成瀬達先生が継承し、病院機能の裾野を広げています。近年は地域の高齢化がさらに進み、医療の中心は病院から在宅へ移ってきました。そうした時代のなかで、高齢社会においても、住み慣れた街で安心できるように、病院機能を強化しているところです。

医療・介護・福祉の拠点として
地域を守っていく。

---60周年という節目の年にあたり、これからの病院のビジョンについてお聞かせいただけますか。

伊藤 まず市民の皆さまの身近な市民病院として、健康な生活を守るために必要不可欠な医療をしっかり提供していきたいと思います。たとえば、病気になって専門的な検査・診断が必要になったとき、あるいは健康診断を受けようと考えたとき、真っ先に頼っていただける地元の病院でありたいし、そのために必要な体制づくりに力を入れていきます。同時に、高度急性期の治療を終えた後、回復期から在宅復帰までの道筋をきめ細かく支援していくことも私たちの大切な使命です。現在、段階的に、在宅復帰を支援する地域包括ケア病床を増やしているところですが、ゆくゆくは一般病床の半数まで増床する計画です。地域包括ケア病床は、在宅療養中の急変にも対応できますから、今後さらに重要な柱になると思います。

---在宅療養支援に一層力を入れていくということですね。

伊藤 その通りです。今後さらに、在宅で療養する方が増えていきますから、訪問診療や訪問看護に力を注いでいかなくてはなりません。ただ、地域の状況を見ますと、まだまだ医療と介護の間には断層があるように感じています。たとえば、退院して施設に入居すると、主治医が変わって医療が途切れてしまうことがあります。そういうことが起きないように、医療と介護の全体を見渡し、必要なサービスを束ねていく役割を率先して果たしていきたいですね。そして最終的な目標は、当院が〈医療・介護・福祉の拠点〉となって、市民の皆さんの生活を支えていくことです。
10年、20年先もここに市民病院があってよかったと思っていただけるように、地域の皆さまとの信頼関係を積み重ねていきたいと思います。

  • みよし市民病院は愛知県で最も小さな、122床の市民病院である。しかし、患者に寄り添う病院の存在感は超高齢社会を迎え、ひときわ輝きを放っている。
  • 同院の病院理念には、「みよし市を愛しみよし市民の健康に寄与することを誓います」と明記されている。これは、みよし市民が健康に暮らし、穏やかに老いていくことを市民病院の責務と捉え、地域医療に貢献していこうとする、同院の決意表明に他ならない。

多死社会における
自治体病院の役割。

  • 急速に進む高齢化に伴い、日本は多くの人が亡くなる〈多死社会〉を迎えるといわれている。そうなれば当然、看取りの場所も病院から在宅へと移行せざるを得ない。
  • そのとき、自治体病院はどんな役割を果たすべきか。みよし市民病院はそこまでの未来を直視し、住み慣れた地域で人生の最期まで暮らせる環境づくりに力を注いでいる。その取り組みは、これからの自治体病院のロールモデルになるだろう。

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