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LINKED plus 病院を知ろう

心臓病に対する
先端治療から予防まで。

岡崎市民病院

見落としがちな心臓病の兆しを
いち早く発見し、適切な治療に繋げる。

大動脈弁狭窄症に対する
TAVI治療をスタート。

令和3年1月、岡崎市民病院のハイブリッド手術室(手術台と心・血管X線撮影装置を組み合わせた手術室)に、循環器内科医師をはじめ、看護師、臨床工学技士、診療放射線技師ら多職種のエキスパートが集結。心臓弁膜症を患う患者(80歳代・女性)に対し、同院で3例目となるTAVI(タビ:経カテーテル大動脈弁植え込み術)が施行された。この治療は、太もものつけ根などの血管からカテーテル(細い管)を通して、人工弁を心臓まで運び、留置するもの。現在、西三河南部東医療圏でTAVI治療を行っているのは、同院だけである。令和2年10月、経カテーテル的大動脈弁置換術関連学会協議会よりTAVIの実施施設に認定。その後、11月に第一症例を行い、順調に実績を重ねてきた。「平成25年にハイブリッド手術室を増設した頃から、いつか当院でもTAVIを行えるようにしたいと考え、少しずつ準備を進めてきました。治療に関わるスタッフ全員が知識と技術を磨き、チーム医療の質を高めています」。そう語るのは、TAVI治療を牽引する循環器内科統括部長の田中寿和である。

心臓弁膜症は心臓の弁のいずれかに異常が起きてしまう病気の総称である。とくに高齢者に多く見られるのは、大動脈弁が硬くなって癒着し、開きにくくなり、血液の通り道が狭くなる〈大動脈弁狭窄症〉だ。従来、この病気になると、心臓と肺の機能を代行する人工心肺装置を用いて心臓を一時的に止め、石灰化した大動脈弁を切除して人工弁に置き換える手術を行っていた。しかし、この手術は、体への負担が大きい。そのため、心臓以外の病気を抱えていたり、体力が低下した高齢者には、適用が難しかった。「TAVIが導入され、これまで手術を諦めていた高齢の患者さんも、大動脈弁狭窄症を根本的に治す選択枝が生まれました。TAVI治療を受けた患者さんはみんな、これまで苦しんできた息切れ、胸の痛みなどから解放され、アクティブな日常生活を取り戻していらっしゃいます」と田中は手応えを語る。

多職種・多施設と連携し、
市民の心臓を守っていく。

TAVI治療の実績を着実に重ねる岡崎市民病院。しかし、「TAVIは、火事が起きたときの火消しに過ぎない」と、田中は言う。「大切なのは、いかに心臓病という火事を出さないようにするか、また、火事が起きたとしてもすぐ消火し、くすぶっている火を完全に消すことが大切なのです」。

そのために同院が取り組むのが、病棟を横断する〈心不全サポートチーム〉の活動だ。循環器内科の医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士などが週1回、各病棟をラウンド。別の疾患で入院している患者の既往歴や心電図のデータなどをチェックし、心臓病の治療が必要な人を探し出している。「実際にこれまで、整形外科で手術を受けた方が、実は大動脈弁狭窄症だったという事例もありました。また、狭心症や不整脈を患っていても、適切な薬を飲んでいない人もいました。心不全サポートチームの活動を始めてから、必要な患者さんを早期治療に結びつけられるようになったと思います」(田中)。

さらに、田中が構想するのは、こうした心臓病の早期発見の取り組みを、地域の多施設へ広げていくことだ。「実は、高齢になると、息切れや動悸などの症状が出ても、年だから仕方ないと見過ごすことが多いんです。また、心臓病の多くは、動脈硬化をはじめとする生活習慣病からもたらされます。そうした早い段階で心臓病のリスクを見つけて、コントロールすることができれば、適切な時期に最善の治療を提供することができます。そのために、診療所の先生方との連携を一層図り、岡崎市全体で心臓病患者さんの早期発見・早期治療の仕組みを作っていきたいと考えています」。

心臓病に対する最新の治療を提供するだけでなく、心臓病を予防するために、多職種・多施設の連携を深めていく。同院はその先頭に立ち、地域一丸となって岡崎市民の心臓を守っていく構えだ。

  • TAVIは、体力の低下した高齢患者などが対象の治療法である。この治療の適用を慎重に判断するために、岡崎市民病院では週1回、循環器内科と心臓血管外科の医師が顔を揃え、入院患者の治療法を検討している。
  • また、TAVI治療当日は、万一合併症が起きた場合に備え、心臓血管外科医が即座に外科的手術に切り替えられるよう、スタンバイしている。この、診療科を超えた緊密な連携が同院の高度な医療の質を担保している。

高齢化に伴い、
増える心臓病を救うために。

  • 超高齢社会を迎え、心臓弁膜症や狭心症など、何らかの心臓病を抱える患者が大幅に増加している。その状況を「心不全パンデミック」と呼び、警戒する気運が高まっている。
  • そうした地域のニーズに応え、岡崎市民病院は心臓病のリスクのある人をいち早く発見するために、病院内にとどまらず、地域との連携を模索している。診療所と病院が一体となり、心臓の健康を守ろうとする取り組みに、今後も注目していきたい。

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