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LINKED plus 病院を知ろう

医療が必要なすべての人を
感染症の不安から守る。

ヨナハ総合病院

今もこれからも、持病を持つ人が安心して
医療を受けられるように支えていく。

重症化リスクの高い
透析患者を守るために。

「昨日から家族が熱を出しているんですが、私は透析に行ってもいいでしょうか」。4月半ば、そんな問い合わせがヨナハ総合病院にあった。電話を受けた透析室の職員は、家族の具合をよく聞いてから、感染対策の陣頭指揮をとる加藤高志医師に相談。時間を午後にずらして来院するよう返答した。新型コロナウイルス感染対策のため、同院では透析治療を午前中に集中させていた。そして、発熱など少しでも感染の疑いのある人は、その他の患者と交わらないよう、午後に血液透析を実施。ガウンやフェイスシールドなどに身を包んだ医師、看護師らが、透析治療を行う体制を取っていたのだ。

この体制づくりについて、透析室の川上美枝子看護師(感染対策委員)はこう説明する。「もともと新型インフルエンザが流行したときに定めたルールで、それを応用しました。透析の患者さんには毎日1回、こまめに体温チェックをお願いし、自分や家族に発熱がある場合は連絡をいただいて、送迎バスも使わないようにお伝えしています。介護タクシーで通院される方には、本人はもちろん運転手の方にも検温をお願いするなど、徹底しています」。

同院がそこまで透析患者に対し、感染対策を徹底して行ってきたのは、どうしてだろうか。「まず大前提として、新型コロナウイルスの感染がどんなに広がっても、慢性腎不全の患者さんは透析を中断できないという事情があります。当院で行っている血液透析の場合、1回に4〜5時間ずつの治療を週に3回受けていただかないといけません。しかも、患者さんは免疫力が低下しているために新型コロナに感染しやすく、感染すると重症化しやすいという情報も得ていました。そうした患者さんを、ウイルスから守らなくてはと、必死でやってきました」。

新型コロナウイルスの感染が急激に拡大した3月下旬以降、多くの病院で外来の受診制限や治療の延期などが行われてきた。しかし、慢性腎不全に対する透析を延期すれば、たちまち生命の危険に繋がってしまう。そのために、できる限りの感染対策に取り組んできたのである。

病院と各施設が連携し、
法人全体で感染対策を進行。

透析患者に対する、動線コントロール対策と並行して、同院では、病院出入口の制限、面会の制限、健診・人間ドックの受診制限などを行い、ウイルスを院内に入れないよう全力を注いできた。さらに、川上ら感染対策委員が中心となり、職員に対して、手指消毒の徹底、防護具の着脱訓練などの研修を継続している。

「透析をはじめ、当院には持病を持つ高齢の方が多くいらっしゃいます。コロナ禍にあっても、そういう方々が安心して医療を受けられるようにすることが私たちの使命だと考えています」。そう語るのは、感染対策委員会 委員長の加藤高志医師である。加藤は新型コロナ対策の指揮官として、同院、そして法人全体の感染対策をリードしてきた。尚徳会には2つの病院の他、通所リハビリテーション、介護老人保健施設、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーションなどがあり、全体をまとめるのは相当の苦労があるのではないだろうか。「それぞれのフィールドに適した感染対策が必要で、かなり頭を悩ませました。また、高齢の方は、病院、訪問看護、通所リハなどを行き来しながら、生活の質を維持しています。そういう地域の方々の安心を〈面〉で支えるために、法人内の連携に一層力を注いでいます」と加藤は話す。

現在も同法人では、月に1度、各施設の代表が集まり、感染対策について情報共有と意見交換をしている。「第2波は必ず来ると考えています。それに備えて、法人内では防護具の備蓄、ゾーニングの工夫など、一つひとつの課題をクリアしていく計画です。さらに、法人内だけでなく、地域で医療や介護に携わる方々との連携をもっと強化する必要があると考えています。この地域の医療・介護に関わるチームが一丸となり、秋冬も問題なく乗り越えられるように準備を進めていきたいと思います」。加藤は力強くそう語った。

  • 透析患者の感染対策では、課題も山積していた。例えば、動線の問題。透析室は、同院の道を挟んだ向かい側、ヨナハ介護老人保健施設の5階にある。同院からの移動距離は長く、他の患者や利用者と接しないような工夫が必要だった。
  • こうした課題を踏まえ、令和3年秋に移転する新病院では、感染予防に配慮した動線を実現し、患者が使う更衣室も3密(密閉・密集・密接)にならない工夫を施すなど、安心の透析室を作る計画だ。

病院という〈点〉ではなく、
〈面〉で感染対策に取り組む。

  • 尚徳会の守備範囲は広い。法人内に病院、通所リハビリテーション、介護老人保健施設、訪問看護ステーションなどを揃え、入院生活と在宅療養生活の両方を〈面〉で支えている。
  • 感染対策においても、病院という〈点〉ではなく、療養生活も含めた〈面〉に対して幅広く対応してきた。小さな組織、少ない人員で、そこまでするのは並大抵のことではない。その負担の大きさを理解し、支援の目を向けていくことが大切ではないだろうか。

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